「聡くん、夢ってある?」
「夢? ないけど。」
「言うと思った。」
俺ってそんなにつまらない人間に見えるのだろうか。
「祭の夢は何なんだ?」
「私? 私はねー。学校に行くことかな。」
俺は思わず左腕で顔を隠した。
「そう言えば、学校行ってないもんな。」
「そう。だから定時制でもいいから普通に学校に行って、普通に恋愛して、普通に働いて、普通に結婚して、普通に子供を産んで、普通の家庭を作って……普通に死にたいなって。」
普通に死にたい……か。
確かにそれが一番幸せなことじゃないだろうか。一人で歩けないくらい歳をとって、老衰で死んでいく。きっと人生で一番幸せな最期じゃないかと思う。
それをこの年で、俺と同い年で、真っ先に思いつくなんて、ばかばか言っているが、俺よりも十分、頭がいい。
俺なんかじゃなくて、祭が学校に行った方が、社会への貢献度も高いはずだ。
祭はしばらく黙って星を見た後、「さってと。」と一言。急に立ち上がった。
「聡くん、もうやっちゃいけないこと、やめよう!」



