血圧を測り終え、体温をパソコンに打ち込むと、看護婦は病室を出て行った。
そのタイミングを見計らっていたように、伏見さんがカーテンをシャーッと開けた。
「おい、坊主。元気か?」
「……祭に比べたら、こんなの屁でもないですよ。」
「そりゃそうだ!」
伏見さんだけはいつも通りだ。
「それで、今日は何をやってたんだ?」
「別に……。」俺は伏見さんに背を向けて、本を開いた。
「別にってことはないだろ? 俺はキミらのファンみたいなもんなんだぞ?」
「ファン……ですか。」俺は本を閉じて伏見さんに向き直った。
「でも、もうじき解散ですよ。」