「聡くん、やっぱり私と間接キスとか嫌だった?」
「そ、そんなことないよ! って言うのも、おかしな話だけど……全然、大丈夫だよ。」
「あれー? 合わせてくれてる?」
そうじゃない。
「でも、ありがとね。やっぱり聡くんって優しいわ。優男だわ。聡くん、高校でもモテるでしょ?」
そうじゃない!
「ごめん。ちょっとトイレ行ってくる。」
限界で、俺は席を立った。しかし、祭は俺の腕をギュッと掴んだ。
「やっぱり聡くんって優しいね。でも、いいの。聞いてくれる? 私の今までの過去。」
少し迷って、それでも、聞いてほしいのが祭の願いなら、俺は逃げずに聞くことにした。



