近くにあったたこ焼き屋で、10個入りのたこ焼きを2つ買った。俺はネギが上にたくさん乗ったねぎだこ。祭は明太子とチーズが乗ったチーズ明太子にした。
「やっぱり、デートとかで食事するときって、お互い違うもの頼んで、シェアし合うっていうのが鉄則だよね!」
祭の言う通りだと思った。俺たちはテラス席に対面に座った。
「ねえ、聡くん。どう? ねぎだこ美味しい?」
「ああ、結構美味い。」本当に美味しかった。これも絶食効果だろう。今なら何を食べても美味しい気がした。
「祭はチーズ明太子だっけか? どんな感じ?」
すると、祭はチーズ明太子のたこ焼きを一つ、俺の口へと突っ込んだ。
「こおんな感じだよ!」
爪楊枝を俺に向けながら笑うその顔が、健気で、可哀想で、見ていられなかった。



