「どうしたんだよ?」
そう訊いても、祭はプンプンと怒るばかりで、何も言わない。
「おーい、痛いんだけど?」
「うっさい! ばか! 死ね!」
「し、死ねって言った!? 今、死ねって言った!?」
すると、祭は急に立ち止まり、俺はその反動で顔を祭の背中にぶつけてしまった。
「あの店員、なんて言ったと思う?」
「いらっしゃいませ?」
「そうじゃなくて、その後!」
「身分証の確認できるものありますか?」
そう言って、気付いた。
「そうなのよ! 身分証よ? 身分証! 保険証はお父さんが持ってるし、身分を表すものなんて何もなかったの。そしたら、『身分証がないと、機種変更できないんですよ。』だって! それならそうと看板にでも書いておけって話よね!」
「あれ? でも、高校の学生証とかあるんじゃないか?」
そう訊くと、祭は俯いた。
「持ってない。」
「持ってない? 忘れたとか?」
祭は首を横に振った。
「私、高校生じゃない。」



