「……いいのか?」
隣から声がして、カーテンを開けた。
「いいのか? このままで。」
伏見さんはベッドの背もたれに身体を預けながら、老眼鏡をかけ、クロスワードパズルを解いていた。
「このままでいいんですよ。このままで……。」
「……ふーん、そうか。」
伏見さんは興味なさそうにそう言って、老眼鏡を額に上げた。
「まあ、どっちでもいいが、俺から言わせると、卑怯だよな。」
「卑怯?」
「ああ、卑怯さ。お嬢ちゃんの方から告白させて、てめえの気持ちもちゃんとしてないのに、何となくで付き合って、フラせて、何も言わない。」
そんなこと言ったって……。
「しょうがないじゃないですか。美紀が別れたいって言ってるんですから。」
老眼鏡が飛んだ。俺は、胸倉をその太い腕で掴まれた。



