こんなことをあの病室で考えていれば、きっと更にイライラが溜まっていただろう。



しかし、ここにいると、なぜかそれが全部許せた。どうでもいいことのように思えてきて、いい。「そんなことでイライラすることでもないだろう?」



と、笑って語りかけて来るような気がして、思わずほくそ笑んでしまう。



不思議な力がある木だ。母さんが言っていた「病は気から。」という言葉も、強ち間違っていないような気がしてきた。



かと言って、それは精神的な問題で、大腸の中の傷までが綺麗に治るとは到底思えない。医者もお手上げなこの大腸を唯一治せるとしたら……神様か。



神様に願うか? ふんっ。くだらない。



本を横に置いて、目を閉じた。もし、このまま目が覚めなければ、どれほどいいだろうか。



いっそ、この心地良さのうちに死ねたらいい。そんなことを思って、眠った。