彼女はパフェをすくったスプーンを俺に向けた。



「どう? 私を好きになってみないか? っていうか、私を好きにならなかったら、七原くんの青春は孤独で終わると思うけど?」



「あんたは悪魔の息子かよ。」



「別に海賊になろうって言ってるわけじゃないだろ?」



確かにそうだ。



「私と付き合ったら、キミの青春はきっと今よりも素晴らしいものになると思うんだよ。デートは私がリードするし、キミはただ私に付いて、幸せに浸っていればいい。私がキミを幸せにする。そうすれば私も幸せ。これってさ、素晴らしい相乗効果じゃないか?」



「……ああ。」



そう思った。エスコートが苦手な俺にとっては、合理的な相乗効果だった。



「それじゃあ、もう一度訊きます。七原聡くん!」



「は、はい。」



「この私、藤代美紀と一緒に幸せになってもらえますか?」



俺は差し出されたスプーンに乗ったパフェを食べた。



少し溶けていて、甘かった。