「ほら、私ってこんなのだろ? 中学の時は世間体なんか気にせず、はっちゃけてて、よくクラスの男子から、『お前、男みたいな奴だな。』ってからかわれたりもしたさ。」
ああ、確かにいた。クラスに一人、そういう女子。
「だから、それこそ少女漫画なんか読んでても、恋する乙女の気持ちってのがイマイチ理解できなくてさ。そんな時に瀬花高で七原くんを廊下で見かけて、『ああ、この胸がキュンとする感じが恋なんだ。』って気づいちゃったんだよな。あー、恥ずかし!」
彼女は頭を掻いて、耳を真っ赤にした。不器用だけど、きっと俺のことが好きだというのは本当なんだと思う。
「で、こんな男みたいな女じゃダメだって気づいて、必死に女の子らしく振る舞うように心がけたのさ。まあ、なんて言うの? 高校デビューってやつ? 休み時間になると、七原くんの教室に行ったりして、目の保養ってやつ? をしたり、気付いてくれないかなーとか考えたりさ。でも、それをやってる自分を客観的に見たら、恥ずかしくなってさ。結局、声もかけられなかったわけ。」
そんなことがあったなんて、当然俺は知らなかった。しかも、それを顔を真っ赤にして、しどろもどろに語る姿を見せられてしまうと、萌える。ギャップ萌えというやつだろうか。
「ところで、七原くん。徳川家康ってなんで天下獲れたと思う?」
急に話が変わった。彼女はその間もパフェを幸せな表情で頬張っている。
「明暗を分けたのは、家臣じゃないか? 大型大名の最大の敵は、目の前の敵じゃなく、家臣なんだよ。灯台下暗しで、裏切りって多かったからな。そういう意味では、徳川家康は家臣にも恵まれていたし、世継ぎも力を付けて育った。そうじゃないと250年も続かない。」
「へえー、そういう考えもあるのか……。もしかして、七原くんって歴史マニア?」
「誰かさんのおかげで、一人本を読む時間が多くてね。」
皮肉たっぷりにそう言ったが、彼女の方はあまり気にしていないらしかった。



