そんな俺に救いの手を差し伸べてくれたのは、これまた奇妙なことに、美紀だった。
もうすっかり日常化してしまったが、移動教室に一人で向かっていると、ちょうど廊下で一人でいる美紀と鉢合わせてしまったのだ。
「なあ、孤独になるってどんな気分だ?」
出会った時と同じように不自然な第一声。
そりゃ「おはよう」や「こんにちは」から始まるような会話も不自然だが、孤独の気分はどうか? から始まる会話も十分不自然だった。
そう考えると、自然な会話の始まり方って一体何だろう。
「最悪だな。」正直に答えた。
「でもこの最悪は俺だけの最悪なだけ。俺の都合でしかない。俺がどこまで最悪だと思っても、あんたや周りの日常は、普段と変わらずに進んでいく。そう考えると、いじめってやつは本当に残酷だよな。一生に一度しか訪れない大事な一分、一秒でさえも奪っていく。」
「なかなかの哲学だな。」彼女はどこか嬉しそうだった。
「じゃあ、もしあなたをその最悪から抜け出す方法を私が知ってるって言ったらどうするよ?」
俺は思わず彼女の顔をまじまじと見た。真面目に言っているのか、ふざけて言っているのかはわからない。でも、あやかれるものがあれば、なんでもあやかりたいほど、俺は精神的に追い込まれていた。
「放課後、パフェを奢ってくれ。」
彼女はそう言って白い歯を見せた。



