誰々と誰々が付き合ったなんて噂は、あっという間に広まる。
しかし、それは誰々が誰々を泣かしたという噂も同じらしい。
昼休みに入る頃には、クラスの女子にも広まっていて、通り過ぎる女子みんなから睨みつけられる。
そりゃ、メガネで、スカートの丈が長くて、ダサい真っ白な運動靴を履いていて、教室の隅で本を読んでいるような女子ならこんな騒ぎにはならないだろう。実際、俺は彼女がそういう女子だと思っていた。
違ったのだ。むしろその逆で、女子の間からはすごく人気のある女子だった。
彼女は、サッカー部のマネージャーをしている傍ら、地元の女子サッカー強豪クラブチームでレギュラーだった。
ポジションは、超攻撃型の左サイドバックで、日本代表で言うところの長友選手と同じポジション。また、長友選手ばりの運動量とこれまた日本代表の浅野選手ばりのスピードを兼ね備えた「左からの創攻創守」を担っていた。
背番号は14番。これは付き合った後で知ったのだが、オランダの「サッカーの申し子」とされた、ヨハン・クライフ選手が好きだと言う理由で、自ら選んだ番号だったらしい。
とにかく、そこまでサッカーが上手いもんだから、サッカー部の男子連中に混じって練習することもよくあり、その度に男子はメンタルをボロボロにされると言う。
いじめを受けた経験をしている人ならわかると思うが、そういう女子は人気だし、そういう女子を敵に回すと、怖い。



