俺はそんな中、美紀が本を読んでいる姿をチラチラと見ていた。



別に意識して見ていたわけではない。ただ、視界にそこそこ可愛い女子が入れば、見てしまうのが男なのだ。



だから、俺の目線を凝視している人がいれば、きっと「七原くんって、美紀のこと好きなんだ。」と思うだろう。



事実、そうなったのだから、今ではそういう誤解も許せるし、そもそもそんな誤解なんてなかったのかもしれない。



ただ、何かしら通じるものがあるようで、俺と目が合った瞬間、美紀が急に本を閉じ、俺の方へ歩み寄ってきたのだ。