タッ、と駆け出して行ってしまった桃華さんの背中を見ながら、僕は息を吐いた。 「帰ろう……」 からっぽの頭の中に思い出されるのは、美咲さんとの最後のやり取りと、桃華さんのさっきの言葉。 「僕だって、行けるものなら、行きたいですよ………。」 僕のつぶやきは、まだまだ暑い夏の空の向こうへと、消えていった。