キッパリと即答した僕に、桃華さんは僅かに目を見開く。
「…なんで?
お昼までは、行くって言ってたじゃん!
あんた、美咲のこと心配じゃないの!?
美咲のこと、好きじゃなかったの?!?
答えなさいよッッ!!!!!」
ガンッ、と下駄箱に押し付けられ、廊下を通る人々が僕らを見た。
「…好きだからです。
好きだからこそ、僕は美咲さんから離れなくちゃいけないんです!
彼女をこれ以上、傷つけるわけにはいかないんです!!
……もちろん、僕だって美咲さんのことが心配ですよ。今すぐにだって会いに行きたい。でも、それじゃダメなんです!!
………だから、お願いします。
美咲さんのことは、あなたに任せさせてください……。」
「………っっ」
美咲さん、ごめんなさい。
僕はあなたの隣にいるべき人間ではなかった。
少し冷静になって、わかったんです。
このままでは、あなたを傷つけてしまうと。
あなたを守る自信は、まだ僕にはないと。



