そんなツッコミを入れようとも思ったけれど、きっと今言ったら彼女が持っている箸で僕の両の目がやられかねない。
僕は息を一つ吐く。
こんなことを言ったらどちらにせよ目潰しコースな気はするが、言わないことにはどうにもならない。
「僕……携帯持ってないんです。」
…………………
「はぁあああ!!?!??」
桃華さんはガタンッと椅子から立ち上がり、叫ぶ。
あ、よかった、目潰しじゃない。
というか…
桃華さん、結構な美人なのに、もったいないな。
あ、いや、僕は美咲さん一筋ですけど!
って、そんな話は今はどーでもいいか。
いや、よくない!
「ちょっと湖城くん!
今の時代携帯持ってないなんておかしいわよ!??
美咲を見つけたら、まず携帯買う!
そんで美咲と連絡先交換する!!
わかった!!????」
すごい剣幕(でも小声)で怒られ、僕はとりあえず首を縦に振る。
…桃華さんはもったいない人だけど、絶対にいい人なんだろう。



