こんなに全速力で走ったのは、いつぶりだろう。 僕はチャイムとほぼ同時に教室へ飛び込む。 「おはよー、王子! ……あれ、美咲は?」 美咲さんの親友である桃華さんが、僕に片手を挙げた。 「………わかりません。」 美咲さん、今日はまだ学校に来てないのか…?? 隣の席を見ると、彼女の鞄などは一切見当たらなかった。 そんな僕の肩を、桃華さんはギュッと握った。 「…わからないって、どういうこと? 美咲と一緒に住んでるんでしょ?」 小声で、しかし威圧的に彼女は僕に問う。