【完】家出少女と、**王子。





〜side雪弥〜



「美咲さん!!??!?」


バンッと彼女の部屋の扉を開けるが、そこには僕が彼女にあげた、パジャマ代わりの服がキチンと畳まれていただけだった。


「……何処に行ったんだ…!??」



数時間前。

僕が目を覚ました時に、僅かな違和感があったんだ。



まるで前の自分の家に戻ってしまったかのような。


そしてその予感は的中し、彼女はもうこの家にはいなかった。




ポケットからメモ用紙を取り出し、見つめる。



これは朝、食卓に美咲さんの合鍵と共に置いてあったものだ。




『今までたくさん迷惑かけてごめん。
私は元の場所に戻ります。
ありがとう、さよなら。

美咲。』





その数行だけ書かれた、僕宛の手紙。