お母さんの声に、耳を傾ける。
「お母さん達、美咲が家を出てまで伝えたかったことに、ちゃんと気付いたから……。お父さんのことが好きって気持ちが埋もれてしまっていたことに、気づけたから……!
もう美咲を悲しませることなんて、しないから…っ!
だから、お母さん達に、もう一回…っ、もう一回だけ、チャンスをくださいっ…!
今度こそ、美咲を笑顔にしてみせるから…!
私達の家に、戻ってきて…….っ!!」
お母さんの涙に、私まで胸が痛む。
…こっちこそ、ごめんね。お母さん。
わかってなかったのは、私もだ。
お母さん達は、私なんかいなくても大丈夫だなんて、そんなこと、全然なかったんだね。
「………ごめんね……」
お母さんに聞こえないくらいの音量で、ぽつりと呟く。
ごめんね、お母さん。私こそ、全然気づいていなかった。
ごめんねーーー……。
気づかぬうちに、視界が揺らぐ。
頬を冷たくも温かい雫が伝う。
あーもー、やだな。
昨日も、泣いたばかりだってのに。
「お母さん、私ーー……
家に帰るよ。」



