「………い」
「…え?」
聞き返した雪弥をキッと睨みつけて、私は叫んだ。
「もう雪弥なんか知らない!!
帰りが遅いから何してんのかなって思って、ついてきただけなのに、なんでそんなこと言われなくちゃいけないの!!??
そんなんだったら、お母さん達と暮らしてんのと、なんも変わんない!!!
もう知らない!!雪弥のバカッ!!」
それだけ言って、私は雪弥の止める声なんて聞かずに、家まで走って帰った。
雪弥から貰った合鍵で玄関を開けて、雪弥から貰った部屋のドアを荒々しく閉める。
「………雪弥の、バカやろー…!」
そう呟いた瞬間、目から雫がポタリと落ちる。
「…は?え、な、何これ…っ」
必死に目を擦っても、それは止まるどころか、余計に溢れてきた。
「…っ!」
私って、こんなに弱かったっけ??
その日、私は、十数年ぶりに、声を上げて泣いた。



