「……はぁぁーー…」


あたしは今日も、机に突っ伏してため息を吐く。

あの日。……流星くんが、刺された日。


あの時はすぐに落ちてたスマホに手を伸ばして警察呼んで、逃げられはしたけど、流星くんを助けることはできた。



…でも。

彼に怪我を負わせた1番の原因は紛れもなくあたしで。

だって、あたしがあの日流星くんとデートしなかったら、

ううん。
あたしがあの日倉庫に行かずに、流星くんと出会わなかったら…


流星くんは、刺されることなんてなかったはずなのに。



「ため息吐くと幸せ逃げるんじゃなかったっけ?」


頬杖をついてあたしを見下ろす美咲に、ぅー…と唸る。




「もうあたしの人生ぶんの幸せは1週間前のあの忌々しい日に全て奪い取られましたよ………….」


あたしを庇った流星くんの声が、頭から離れない。
だって、初めてだった。彼に『桃華』って呼んでもらえたのは。


あの一瞬、本気で舞い上がっちゃいそうだったよ。

だけど…流星くんを傷つけたあたしに、彼の隣で笑う…それ以前に、彼の隣に立つ資格さえ、ない。