「と、とりあえず、110番…!」
流星くん、大丈夫かな。まさかあの人にやられてボロボロになるなんてこと…
考えただけでも、ゾワリと鳥肌が立つ。
やだやだやだ、そんなの!
バッグからスマホを取り出して、緊急のボタンを押す。
あとは1、1、0押して発信するだけ…!
グルグルとパニックになりそうな頭を必死に動かす。
ええと…
1、
1、
0…
「ねぇ君。何してるの???」
「!?」
突然頭上から降ってきた声に驚いた時には、手の内からスマホが消え去っていて。
道路に投げ出されたそれを視界の端で確認して、目の前の男に焦点を合わせる。
「誰、あなた。」
「んー、さっき君の彼氏さんが殴った人の仲間、って言えば…わかりやすい?」
あたしの彼氏……殴った…ってことは、流星くんと闘ってたあの人の仲間?
つまり……流星くんの、敵…。
「なんであたしを狙ったの?何も得なことなんて、ないと思うけど。」
睨みつつ、少しずつ後ずさる。
もう警察ルートは無理として……どうすればいい?
逃げ足は速い方だと思ってるけど、男女差…しかも、一般人と不良だし、上手く撒けるなんて到底思えない。



