「っはあー!楽しかった!今日はありがとね、流星くん」
「…別に。」
日が傾いていく中、流星くんと2人で並んで歩く。
最初はあんなに恥ずかしくてむずむずした手繋ぎだって、デートが終わる今となっては、無性に離したくなくて。
……まだ、帰りたくないな。
そんな微かな願いを消すかのように、空は闇のカーテンを下ろしていく。
「ねぇ、流星くん。もしよかったら次もーーーーー
「!…もうあんた帰って」
「………は、」
……ちょっと待って???
せっかく人が勇気出して次の約束しようと思ったのに?遮った挙句、『帰れ』?
意味わかんないし。
「やだやだやだ!!絶対帰んない!
流星くんがキスしてくれたら帰ってあげてもいいけど!」
ぎゅーっとシャツの袖を引いて、首を振る。
やっと掴んだチャンスなのに。もう帰るとか……。まだあたし、何も流星くんにアピールとかしてないのに。
「っ、ちょっと…今はそんなこと言ってる場合じゃ…!」
「きゃ…」
今までにないくらい真剣な顔の彼が視界の端に映って……一気に体が後ろに傾く。



