「ちょ、な、に。」

ポスンっと流星くんの胸に埋まって、黒い思考が一気に真っ白になる。


「わぁ!!ご、ごめ…っ」

慌てて離れて、ふと気づく。


……手、繋いだまま。


「ああああの!流星くん…っ!」

「なに?」


特になにも考えていなさそうな流星くんが、あたしの手を引いて歩きながら、振り返りもせずに問う。


な、なんでそんな平然としてるの??!

「あ、あの、てっ!手が!!」

「ああ…。別にいいでしょ?あんたオレのこと好きみたいだし」


アワアワと手を振り回すあたしに、流星くんはフッと悪戯な笑みをこぼす。


確かに流星くんのこと、好きだけど!!


「す、好きだから、困るの!

こんなの、ドキドキして、死んじゃいそう………」



って。

……一体あたしは、なに言ってるんだろう。

こんなの直接本人に言う方が恥ずかしいのに…!!!!


「いっ、今のナシ…っ!!」

手を振り払って、逃げようと流星くんから背を向けるけど、


「だから待てってば」

ぐいっと腕を引き寄せられて、また流星くんに捕まってしまう。



「さっきも言っただろ?オレはあんたに興味が湧いたって。
今日はもう暗いから無理だけど…

今週の日曜日。
そこなら暇だから、空けといて」

「へ……」



キョトンとするあたしに、僅かに顔を朱に染めた流星くんが、動揺を隠すように声を張る。


「だ、から……今度の日曜、デートしてやるって言ってんの!!わかった?」