近いとドキドキしてなにもできないくせに、離れると寂しいなんて。
なんてわがまま。初めての感情に心が戸惑うばかりで…なんだか振り回されてるな、あたし。
「おい晴!いきなりなにすんだよ!!」
突然の後ろからの襲撃に、流星くんが振り返ると、頬を膨らませた矢嶋くんが「流星の考えてることなんてお見通しだから!!!」と再度背中を押す。
「どうせ夜野さんのこと、気になってるんでしょ?
こっちはオレがやっとくから、流星は送ってきな」
「いや、でも!
「あーもー!!そういうのはいいから!女の子1人安全に帰してあげられないリーダーなんて、オレが嫌だって言ってんの!!!!!
わかったらさっさと送ってこい!」
矢嶋くんの言葉にぐっと詰まった流星くんは、しばらく視線を彷徨わせてから、はぁ……とため息を吐いた。
「…わかったよ。ほら、帰んぞ」
渋々だけど差し出してくれるその手に、あたしの想いが全て伝わればいいと願って。
あたしはそこに、自分の手を重ねた。
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