〜*・数年後・*〜



ーーコンコン


「はーい?」

控えめなノック音に入室を促すと、カチャリと開いたドアの先に立つ人物に、息を飲む。


「綺麗………」



白いタキシードに髪をセットした雪弥に、思わず見惚れてしまう。

黒髪が映えて、すごく…カッコいい…。


「雪弥?何してんの、そんなとこで」


立ち尽くす雪弥に声をかければ、

「いえ、その、とても、綺麗です…!
本当に、触れていいのか疑ってしまうくらい………」


途端、かかか、と熱を持つ私の頬。


「は?!な、何言ってんの…。
雪弥だって、充分。カッコいいし…」


今世紀最大ぐらいの勇気を振り絞って言えば、



「…………………………」

返ってくる無言。(つまり返ってきてない


「ちょ、ちょっと…!一言ぐらいなんか反応してーーーーーーー


え。」




あまりにも恥ずかしくなって顔を上げると、真っ赤な顔の雪弥。



白い服に赤い顔が映え……ってまたこの流れかい。









え?っていうか、なに。…なに。


「み、美咲さん……。それは流石に反則です……」


赤い頬を隠そうとする雪弥に、もう恥ずかしさが堪え切れなくなる。



「ばっ、バカなんじゃないの…?!」



「すっ、すみません…!でも


ーーコンコン


「ご準備、出来ましたでしょうか?」




間がいいのか悪いのか…。

係の人が、私達を呼びにくる。



私と雪弥は、未だ冷めやらぬ顔を見合わせて、ふ、と笑う。



「じゃあ、行きましょうか」


そう言って差し出される雪弥の手を取る。



ーそう。


今日は、私と雪弥の、


人生で1番、大切な日。