「…………」



押し黙る雪弥に、流星のこめかみがピクリと動いた。

「あっそ。じゃあ……」


ーグイッ


「わっ」

「美咲!」
「美咲さん!」


不意を突かれて、腕を思い切り引かれる。

その勢いに乗っかったまま、私は必然的に流星の腕の中へ。


「自分の未来すら賭けられないヤツに、女は守れないよ。
…オレがもらってもいいよね?」


「あんた…卑怯だとは思わないの?」



流星を睨みつけると、グッ、と顎を持ち上げられて、至近距離で目が合う。


「…っ、」


その端正な顔には、僅かに悲しみの色が浮かんでいて。


「卑怯な手だったとしても、オレは仲間との未来を守りたい」


オレが欲しい未来には、雪弥が必要なんだよ。

そう零す流星に、何も言えなくなった。


流星は、本当に仲間のことがーーー





「………わかりました。」

「!」




前方から聞こえてきた声に目だけを動かすと、真剣な表情の雪弥が、私ーーー…否、流星を見つめていた。




「流星くんの勝負、受けますよ。だから、彼女を返してください。
美咲さんは今回の件に関係はないはずです。」


「雪弥………」