雪弥は一瞬戸惑った風を見せて、…
流星に頭を下げた。
「すみませんが、僕にはもう【今】があるので。過去に戻るようなことはできませんし、…したくありません。
なので、お断りします。」
「ッ!」
ーーーガンッッ!!
流星が倉庫の壁を思い切り叩いて、静かな空間に音が響く。
途端緊張が走って、桃華が私の背に隠れた。
「……どうしても、ダメか?」
「……………それ、は……」
…雪弥が言葉に詰まるのは、わかる。
だって、今でこそすれ違ってる2人だけど、『あの時』ではとても仲が良かったハズ。
そんな人からの頼みなんだから、…私でも、きっと考えてしまうと思う。
「雪弥………」
思わず、呟きが溢れる。
その時に、静まり返った倉庫内に「そうだ」と流星の声が響いた。
「悩んでるなら、勝負にしようぜ、雪弥」
「勝負…?」
首を傾げる雪弥に、流星はニヤ、と笑みをこぼす。
「…まさか、忘れたわけじゃないよな?1対1。
俺が勝っちゃった場合は、諦めてやるよ。弱いやつがトップなんてありえねーし。
だけど、雪弥が勝ったその時は…もう1回、リーダーの椅子に座る。
これで、どう?
もちろん、手抜きは許さねぇ」



