【完】家出少女と、**王子。




なんて。そんなことを思ってしまう私はもう末期だと思う。




「桃華…危ないかもだから、下がっといて…っ?!」

桃華に呼びかけたその時、後ろから顎を持ち上げられて、真後ろ…?真上…?にいた流星とばっちり目が合う。


「話、終わったってことでいいよね?」

「っ、美咲さん!!」

かと思えば雪弥に腕を引かれて、今度は雪弥の腕の中に収まる形になる。



…なんなの、これは。



「…美咲さんに触らないでください」


ジッと雪弥が流星を睨みつけると、流星はふぅ、と息を吐いて、



「もしかしなくても、雪弥がオレら裏切ったのってそいつが原因?」

「!」


僅かに目を見開く雪弥を見て、流星はふーん…と目を細めた。



……なんか、視線が刺さってるんですけど。


どうしよう、と動くこともできずにいると、雪弥が私の肩をトンと押す。


「えっ、わっ…」

急な衝撃に、私の体はグラリと傾いて、雪弥の2、3歩後ろで止まった。



「ちょっ…いきなり何…っ

「美咲さんも。危ないかもしれないので、下がっていてください。」


そんなの嫌だ!…って、普通なら言えたのに。
雪弥の真剣な瞳見たら、言えなくなった。


「ーーー…わ、かった……」





俯いて、桃華の隣に並ぶ。

本当は、私も雪弥の力になりたい。




…けど。


「今回だけは、私が口出しちゃダメだ…」



今日、雪弥が抱えてる『過去』を知れる。
雪弥が、過去を乗り越えようとしてるんだから。