「美咲さん。5限、どこに行っていたんですか?」
「え"っ」
終わりのSHRも終わり、「さぁ帰ろう」と椅子から立ち上がろうとした時、雪弥から尋ねられる。
ちなみに桃華は借りた本が返却期限ギリギリだからって、図書室に行ったらしい。
「…もしかして、5限は体調不良だった、なんてことはないですよね?」
すごく近い距離から顔を覗き込んできた雪弥にドキッとして、私は椅子ごと後ずさる。
「なっ、ないないない!!至って健康!!だから離れよ?!ね?!!」
「……じゃあ、何の理由でどこに行っていたんですか??」
「!」
こ、こいつ…っ!私が正直に答える術を習得しやがったな。
「な、内緒。」
ふい、と視線を逸らすと、明らかにしょげた表情をする。
う…、だ、だって正直に言ったら雪弥怒るんだもん。
「そ、それよりさ、雪弥!」
ぱっと話題を変えると、僅かに眉根を寄せた雪弥が「…何ですか?」と再び椅子に座る。
…本題は、ここからだ。
「ゆ、雪弥…"倉庫"ってわかる、よね?」