晴の目をしっかりと捉えて問うと、きょとんと目を丸くして、「あー…」と目を逸らされた。
「それ、聞いちゃいます?聞いた後で気まずくなって後悔するのは先輩の方ですよ?」
「……。それでも、私に関することなんだから、私には聞く権利があるわ。」
強い口調で告げると、晴はふぅ…と息をついて、「本当に知りませんからね…」なんてブツブツこぼしながら体ごとそっぽを向いた。
「……誤魔化してたんですよ、本当は。」
「……はい?」
首を傾げると、晴は「あーもー…!」とガシガシ頭を掻いた後、こちらを振り返った。
「あの時、絶対バレてたじゃないですか。……俺がまだ、あなたへの気持ちを消せていないこと……」
「…………ッ」
…これは、どう反応するのが正解?
「もちろんわかるに決まってんじゃーん!」
って言ってもダメな気がするし、だからと言って
「えっ?そ、そうだったの?」
なんてしらばっくれるのは、違う気がする。
「…………ごめん…」
「ほらー!だから言ったじゃないですかー」
咄嗟に俯くと、晴はヘラヘラ笑って、時計を見た。
「…そろそろ5限が終わりますね、戻りましょうか?」
私に背を向けて、一歩早く歩き出した晴の制服の裾を掴む。
「晴ッ!」



