「なっ、だ、騙し…っ」
「ちょっとー人聞きの悪いこと言わないでください〜」
よっこらしょ、とやたらジジくさい掛け声と共に、晴は立ち上がる。
え?ていうか何何何、どこからどこまでが「なんてね」?!え、もしや全部!?全部嘘でした的な?!!
晴の顔を見上げながらぐるぐると考えていると、何かに気づいた晴が「ああ、違います、違います」と首を振る。
「ち、違うって、何が」
私も立ち上がって、晴と同様に壁にもたれかかった。
「美咲先輩のことだから、どうせ『今までのって全部嘘だったの?!』とか思ってるんでしょう?」
「………………………」
ぐさっと図星を指され、言葉に詰まる。
……晴、今のはもしや私の声真似か?ヘッタクソだなオイ。…ツッコミしてたらキリがないから言わないけど。
「ま、まぁ…」
「全ッッ然違います。俺の気持ちとか、雪弥さんの過去とかを勝手になかったことにしないでください。」
「ご、ごめ、ん……?」
そうか、違ったのか。なんて思ってから、ふと考える。
え?ちょっと待って??てことは?今の話自体は全部本当なわけで?晴の気持ちももちろん全部本物で………ーーー
「〜っ!?///////」
気づいて朱に染まる私の顔をニヤニヤと覗き込みながら、晴は囁く。
「『俺の気持ちは全部本物』ですからね、先輩♡」
「…ッ、じゃ、じゃあ何が『なんてね』なのよ?!」



