私のその問いかけに、晴は静かに首を横に振って、悲しげに笑う。


「…わかりません。いきなり、去年の4月に髪色戻して『ここ抜けるから』って言われたきりで…」




去年の、4月…。それって、


「やっぱ私のせいじゃん………」




少し前の雪弥とのやりとりを思い出す。






『本当は、高校に入ってからも不良行為は続けるつもりでした。
だけど、美咲さんに出会って、その…恋をして……このままじゃダメだって、そう思いました。』



『……あ、私の、せいってこと…?』


『ち、違います!そういうことが言いたかったんじゃなくて…。
だって、不良のままじゃ敵視されるだけで、そんなに接点は持てない。だから、真逆になって、美咲さんを止める役に回れば、関わりも増えるかな…と、そう思って……』




雪弥は、私のせいじゃないって、そう言ってたけど、



「原因は、私……」


呟いて、膝を抱えた私を見て、晴はふぅ、と息をつく。



「正直、信じられませんでした。ずっと憧れてきた雪弥さんがいきなり抜けるだなんて、信じられるわけがありませんでした。」



だから…そう続けて、晴はじっと私を見た。



「だから、俺は雪弥さんと同じ高校を受験しました。
それで、雪弥さんが急に抜けると言い出した原因と思われる人物を、ようやく見つけたんです。」


誰だかわかりますよね?と笑う晴から、そっと距離を取る。



「あた、し……」

「正解です」