「…へぇ、」
本鈴が鳴る。次は数Aだったっけ。まぁ、どうでもいいけど。
「雪弥さんはそのグループのリーダーで、強くて、でも力任せで物事を解決したりしない、とてもカッコイイ人でした。」
…憧れてたんです。そう呟いて晴は地面を見つめた。
彼の話し方は、そういうことだったのかな。まずは形から、みたいな?
晴の横顔をぼんやり見つめて考えていると、「…でも、」と晴は目を閉じた。
伏せられた長い睫毛が、彼の頬に影を落とす。
だけど、ふ、と影はなくなって。
見上げると、曇りかけていた空は、完全に太陽を隠してしまっていた。
「……でも、彼は、…俺らを、裏切った。」
「……………!」
低く、冷たい声とは裏腹に、今でも泣き出してしまいそうな顔をした晴に、震える声で尋ねる。
「どういう、こと………?」



