「…で?美咲先輩、話っていうのは?」
今度こそいつもの如く、校舎裏。
まあ大体、察しはついてますけど。
そう言って笑う晴の目をじっと見つめる。
この晴は……本物?偽物??
「あんた、もしかしなくても『こっち側』なんじゃないの?」
目を逸らさずに、しっかりと晴を見て問うと、彼の顔から笑顔が消えた。
…笑顔がない晴なんて、珍しい。
多少の恐怖すら覚えるほどに。
「………どうして、そう思うんですか?」
再び笑顔を浮かべて、私を見つめる晴。
だけど、これ、いつものヘラヘラした笑顔じゃない。
背筋が凍りつきそうな冷たい笑みに、私は汗ばんだ拳を握った。
「だって晴って、そのキャラ『作ってる』でしょ?
それに、雪弥とも知り合いみたいだし……力も、普通の人と比べ物にならないくらい強いんじゃない?」
一回だけだったから本当にそうとも言い切れないけど…晴は自分のことを『俺』って言いかけた時があった。
それだけだったからその時はそんなに気にも留めてなかったけど、今朝の、雪弥との会話とか。
あとは…文化祭。



