【完】家出少女と、**王子。





逃すまい、と私の手を握る雪弥の綺麗な手を見つめつつ、こぼす。



「そ、それは…諸事情により、だよ…」


「諸事情ってなんですか。」

「えっ」


え、え、…言うの……?『晴に告白されてフったら名前で呼べって言われた』と…?



否!

言えるわけないよ!!告白されたって言ったら雪弥絶対怒るじゃん…?!




そこまで考えて、ふと気づく。

あれ、なんで、雪弥が怒るのさ。







「…ヤキモチ……?」



「……っ?!」






ポロリとこぼれた言葉に、雪弥がギクッと動く。


えっ、と彼を見上げると、頬を染めて、でも視線だけは逸らさずに、強い口調で告げた。



「そっ、そうですよ!好きな女の子が僕以外の男を名前で呼んでるんですよ!?妬くのは、当然のことじゃ、ない、ですか…」




消え入りそうな語尾と、真っ赤な顔を見て、心がキュンとなく。



あ、え、なに、なんなの。雪弥のくせに。



「かわいい…」


「みっ、見ないでください…!」



真っ赤になった彼を覗き込むと、手で顔を覆って隠された。



ああ、なんか、



好きだなあ。


そう思って頬が緩んだ瞬間。







「何、あんた達まだやってたの?」


「ぁいでっ」