【完】家出少女と、**王子。






「は、晴?!なんで??」


一歩後ずさって問えば、雪弥はさっと目を逸らした。




「…だって」

「…?」


「………………」



え、え、なに。なんで黙るの。



「『だって』…何?」

「……っ、だ、だって…で、でも!美咲さん、聞いたら笑うに決まってます…!」


「そんなの聞かなきゃ笑うかどうかなんてわかんないわよ。ほら、さっさと言う!!…私、そんなに気が長くないんだから」



拳を作って促すと、雪弥は慌てたのちに、渋々口を開いた。





「だって美咲さん、矢嶋くんのこと、…その、



な、………名前で、呼んでるじゃないですか…」





「…はぁ……?」


ポカンと目を丸くすれば、「だっ、だって!!」と更に続ける雪弥。





「み、美咲さん、僕の時は名前で呼ぶのあんなに嫌がってたのに、なんで矢嶋くんのことは名前で呼んでるんですかっ?!」


「!」