キーーーンッ、とマイクが鳴る。
耳、痛い。
みんなの視線も、痛い。
けど、今、どうしても、あんたに伝えたいのよ。
「雪弥ーーー!!!!
あんたのことだから、どーせ、どっかで聞いてんでしょ?!今から超大事なこと言うから、耳の穴かっぽじってよーく聞きなさい!!
私はねぇ…」
そのまま、大きく息を吸い込む。
胸の奥が、張り裂けそうなくらい、あんたのことで埋め尽くされてるのよ。
「……!」
私は、自分の手がカタカタと震えていることに気がついた。
……まさか私が、緊張で震えるなんてね。
震える手を、ギュッと握りしめた。
……怖いよ。すごく、怖い。
またフラれたら…って思うと、告白の言葉も、出てこなくなる。
でも……
これが、最後だから。
これでムリだったら、もう、想いは胸の奥にしまっとくだけにするから。
だから……ちゃんと聞いてよ、雪弥。
「あんたのことが好きよ!!!!!
何回フラれようと、ずっと好きよ!
あんたはねえ、私のこと振り向かせたのよ!好きにさせといて、自分は逃げるなんて卑怯だわ!!!
責任、とりなさいよ!!!
……秘密がなんだってのよ!そんぐらい、私も一緒に受け止めてあげる!
だから、あんたも今くらい正直になって答えなさいよ!!
あんた、私のことどう思ってんのよ!
秘密がどうとか、私が傷つくだとか、そんなくだらないこと一旦置いといて、今のあんたの素直な気持ち、聞かせなさいよーーー!!!!!!」
今の自分の気持ち全部を詰め込んで、精一杯に叫んだ。
これが、私の気持ちだよ、雪弥。
だから…あんたもちゃんと聞かせなさいよ。
「守れないから」とか、そんなんじゃなくて、私は、雪弥の本当の気持ちが聞きたいんだから。
マイクを司会に返して、ステージを降りようとした、
その時。
確かに耳に響いたんだ。
誰よりも聞きたい声で、
何よりも聞きたい言葉。
「…っ、好きですよ!!!!」