「ただいま………」
「おかえり〜!
って立花さん?!!どうしたの、顔色真っ青じゃん!!!」
教室に戻った私を見て、クラスメイトの子が驚いた声を上げる。
だってさ、真っ青にもなるよ。
雪弥が…雪弥の心が離れてっちゃう。
嫌だ、そんなの…嫌だよ。
いつもより水分を含んだ目を見られるのが怖くて、私は俯く。
「ごめん、ちょっと今日は……」
「うん、もうすぐ交代の時間にもなるし、ゆっくりするといいよ!!」
「……ありがと」
ささっと制服に着替えて、私はフラフラと教室を出る。
……うーん。
雪弥が女の子と話してるの見るだけでこんなんになるとか。私、大丈夫か。
教室の扉を閉めると、廊下の向こう側からうさ耳を生やした桃華が看板を持って歩いてくるのが見えた。
「あ、やっほー美咲♡」
「…あ、おつかれ、桃華。もう上がり?」
「うん!ね、一緒に回ろうよ!!着替えてくるから、ちょっと待ってて。」
「わかった。」
そう言って桃華と一緒に文化祭を回ったん、だけど……。
惜しいことに、全然覚えてない。
明日への不安で。
「……雪弥のバカ。」