「キャ!?あ、あの…困ります…!」
チラッと厨房から接客の子達の様子を伺うと、クラスメイトの女の子が男の人に絡まれていた。
「……ごめん、クリームつけたら終わりだからこれ、任せるわ」
シュルッとエプロンを解き、たまたま隣にいた女の子に皿を手渡す。
「えっ?あ、う、うん…!」
その子が頷くのを視界の端で見て、私は厨房を飛び出した。
「ちょっとあんた、うちのクラスの子になんか用?
……げ。」
「あ?……お前、あん時の…!」
こんな偶然、なかなかないと思う。
だって、目の前にいるのって、3〜4ヶ月前くらいに女の子に絡んでた男だもん(p5参照)。
「へー…流石の立花 美咲でも文化祭の衣装はちゃんと着るんだな?」
「どーでもいいしはっきり言ってキモい。
それと、あんたまだこんなことしてんの?少しは懲りなさいよ。」
目配せをして、絡まれてた女の子を遠ざける。
……でも、正直言ってマズいな。こんなとこで乱闘を行おうもんなら、クラスは大変なことになる。
「んだとテメェ…!」
ほらぁ…突っかかってくるしー……
はあ…とため息が漏れる。
「話なら【イヤ】ってほど聞いてあげるから…別の場所に移ろうか?」
私は男の肩を強引に掴んで、教室から連れ出した。



