『いらっしゃいませー!』
綺麗にハモるメイドと執事の声を聞きながら、私はフライパンの中の生地をひっくり返す。
「よっ」
掛け声をかけて、軽く宙に浮いた生地をフライパンでキャッチすると、同じ厨房担当の女の子達が、「おお〜…」と感嘆の声を漏らした。
「えーと、そこの子!」
「えっ、えっ、は、はい…!?」
テキトーに指差すと、「え、わたし?」とでも言いたげにキョロキョロと周りを見る。
いやいやあんただよ、合ってるよ。
まあぶっちゃけ誰でも良かったけど。
「あともうちょいでコレ出来るからお皿出してー。紅茶も用意!」
「うん!わかった!!」
りょーかいです!とメイド服とその上のエプロンを翻して、その子はお皿と紅茶を用意する。
サッと出てきたお皿に出来上がったミニホットケーキを乗せて、ホイップクリームを探す。
……その時に、表の方から声が聞こえた。



