…はやいな。ホントにはやい。
雪弥と深く関わりを持ったあの7月の夏空は、いつの間にやら秋の色に染まって行く。
来年も、こんな気持ちでこの空を見上げるのかな、なんて。
……そんなの、嫌だ。
「ねえ、桃華。」
「うん??」
「……私、頑張ってみようかな。雪弥のこと…誘ってみる。」
夕陽を見つめながら呟くと、視界の端の桃華はパァっと顔を輝かせた。
「それは、文化祭一緒に回るってこと!??!?」
…えっ…。
「ち、違う違う違う!!そうじゃなくて…その、こ、告白大会に、誘うってこと」
全力で否定すれば、桃華はプクー、と頬を膨らませてみせた。
「えー。なーんだ、ちょっと期待したのにな〜。
でも、そうだね。来年は湖城くんとカレカノになって幸せいっぱいで文化祭まわれたらいいね!」
ちょっとじゃなくて、大分でしょ。って突っ込もうと思ってたけど、後半の桃華の言葉を聞いてやめた。
「そうだね…」
「お?珍しく素直!」
覗き込んで満面の笑みでいわれるものだから、
「は、は?別に、素直なんかじゃないし!!」
桃華から視線を逸らしてしまう。
「顔赤いですよ〜?笑」
「ゆっ、夕陽のせいだし!!!」
明日は、雪弥とうまく話せたらいいな。とか、ちょっと考えたりしながら。
その日はいつもより、宿題が捗った気がした。



