雪弥のこと、本当に好きだから。

だからこの際、『彼女になりたい』だなんて、そんな贅沢なことは望まない。


そういうのは、ゆっくりでいいから。

【雪弥に私のこと好きになってほしい】



自分で言った言葉は胸の中にストンと落ちて、鼻の奥がジンとした。





「っ美咲ぃい〜〜」

「もっ桃華、どうしたの!?」


ギュ、と背中に腕を回され、自然と私も桃華に抱きつく。


「ごめんね、キツく言っちゃって…。でもあたし、ホントに美咲と湖城くんに両想いになって欲しくて…っ。

具体的なアドバイスとかは、あたし恋愛経験皆無だから出来ないくせに…。
エラソーに言ってごめんねっ…大事な時に泣くしか、出来なくて、ごめんねぇえ〜….っ!!」



ギュ〜っと力を強める桃華に、私も視界が滲む。


「っバカ、桃華はいつも応援してくれてるよ。…ありがと、ね。」



最後はなんか照れくさくなって、早口に喋る。




…けど、桃華には聞こえてたみたいで。


「…っっ!美咲のデレだあ〜もう美咲好き〜〜!!」



と訳のわからないことを叫びながら、更に腕の力を強めてくる。



「は?!ちょ、何言って…///

ってか苦しい!ギブ!ギブ!!!」



パンパンと彼女の腕を叩くと、えー、と唇を尖らせながらも、離してくれた。




…あの華奢な腕にあんな力があったなんて……!

今度から気をつけよう。うん。