突然大声をあげた桃華に驚いて、私は顔を上げる。
「えっ……。も、桃華!??」
その桃華の様子に、私は再び驚く。
普段はニコニコ笑ってばかりの桃華が、
目に涙を溜め、肩を震わせていた。
「も、桃華?一体どうし…「ムリじゃない!なんで諦めるの?!『彼女になる』だけが全てじゃないじゃんっ」
その言葉に、私はハッとする。
ボロボロ涙を流しながら、桃華は続けた。
「美咲、気づいてた?美咲ね、湖城くんのニセカノ始めてから、すごく表情が豊かになったんだよ。
よく笑うようになった。
よく照れるようになった。
……涙も、見せてくれた。
しかも、喧嘩もあんまりしなくなったでしょ?あたし、知ってるんだから。
…だから、あたしは、美咲と湖城くんに幸せになってほしい!
【彼氏彼女】なんて、ただの器でしかない。気持ちがあれば、そんなのいらない…!!
想いが通じれば、それでいいじゃん!!
彼女ってポジション、いらないじゃん!!美咲は、どうなの?気持ちか、器か!
どっちが大事なの??!!?!
美咲は…湖城くんと、どうなりたいの…」
「そんなの…!」
決まってる。
「私は…私は、雪弥にもう一回、私のこと好きになってほしい。
雪弥と、両想いになりたい…!」



