雪弥が振り向いて、
「大丈夫…じゃないですよね。すみません、僕のせいで………」
と頭を下げる。
「う、ううん…!それは、大丈夫。普段とそんな変わんないし……」
だけど……。
「ねぇ、雪弥。もしかして、さっきの人達と知り合いなの?それと…頭って、なんのこと……??」
雪弥の顔を覗き込むと、パッと目を逸らされる。
「雪弥…。目、逸らさないで、ちゃんとこっち見て。逃げないで…ちゃんと答えて。」
雪弥の両頬を手で包んで、私から目を逸らせなくする。
だって、そうでもしないと、雪弥また逃げるんでしょ?
そんなのは、嫌だから。
ちゃんと雪弥のこと、知りたいから。
だからーー……。
じっと目を見つめると、雪弥は観念したようにへらりと笑う。
わ……。笑って…くれた……。
キュンと高鳴る胸の鼓動には気づかないふりをして、私は精一杯に微笑む。
「ーーー聞かせて。雪弥の、今まで抱えてたコト。」
その言葉に頷く雪弥の頬から、手を離す。
「美咲さん…驚かないで……なんて、ムリな話かもしれませんが、聞いてくれますか…?」
「うん。聞くよ。…聞きたい。」
再び雪弥は笑って、視線を下に落とした。
「今まで、黙っていて、すみません。
実は僕ーー……
元はこの街一体を占めてた暴力グループの、リーダーだったんです。」



