うわ、予想以上に響くな。やっぱりちょっと、恥ずかしいかも。
雪弥はビックリした顔をして、振り向く。
けどまたすぐに前を向いて走り出してしまった。
「ちょちょちょちょっとっっ!!!」
そこは振り返ったまま立ち止まるところでしょーが!
「わ、わかった!じゃあ私、あんたのことこれ以上追いかけないから!だからあんたも止まりなさい!!」
その声に、やっと雪弥の足が止まった。
言いたいことなんて一つしかないくせに、口を開いてもヒュ、と音が鳴るだけで自分でも少し嗤ってしまいたくなる。
気持ちが急いて、と、と一歩足を踏み出すと、雪弥も一歩、後ずさった。
いけないいけない。
また逃げられたら困る。
「ーーーー雪弥…
私、まだ告白の返事聞いてないんだけど。」
こんなことデカい声で話すのは、かなり恥ずかしい。
昔の自分なら絶対やってないと思うもん。
だけど…知りたい。
雪弥はもう私のこと、嫌いになってしまったの?もう、遅い???
雪弥は、すっ、と視線を逸らして「すみません…」と口を動かしたかと思うと、また私に背を向けて走り出した。
「ま、待ちなさいよ雪弥!!
私がそんな言葉で満足出来るとでもーー」
私は必死に手を伸ばして追いかける…けど、まあ普通に考えてこの手が雪弥の背中に届くとは思えない。
あの国民的海賊漫画の○フィみたいに手が伸びたらいいのに。
そんなことを考えて、雪弥と同じように角を左に曲がるーーーー
「は?」



