【完】家出少女と、**王子。





バタバタと階段を駆け下りて、私は昇降口へと向かう。


「ゆ、雪弥…!!!」





……よかった、まだいた。



雪弥は大きく目を見開いたかと思うと、慌てて靴を履き替えて、校門に向かって一直線に走り出した。


「えっ、ちょっと!待ちなさいよ!!」


私も慌てて靴を履き替えて外へ。





……っ、あいつ、足速すぎでしょ!?



今までの体育のタイムは手ェ抜いてたってわけ?!!


雪弥の姿はもう見えなくて、左右どちらの角を曲がったのかも、わからない。





「多分…コッチ!!」


私は自身の直感に従って、以前雪弥を尾行した方角ーー私の家の方向に曲がる。




ひたすら走り続けては勘に任せて角を曲がる。




今日の鞄、何も入ってなくてよかった。

重かったら、雪弥に追いつけない。



……こっちに雪弥がいるかは別としてだけどね。




しばらく走ると、小さくだけど、確かに雪弥の背中が見えた。



「よっしゃビンゴ!!」




今日の私は、今までの人生の中でいっちばん冴えてると思う。(勘が)


って、自分を褒め称えてる場合じゃない!



ちょっと恥ずかしいけど、どーせここは路地裏。そんなに聞いてる人もいないと思う……ってか、そう信じたい。




大きく息を吸い込んで、手をメガホンの形にして口に当てる。








「雪弥ーーーーーー!!!!!」