【完】家出少女と、**王子。



「…で?湖城くんの気持ちは聞けなかったんだ?」

「……うん。」



終わりのSHR前。

私は、雪弥に聞かれないように声を小さくして、桃華に昼休みの状況を説明していた。



「でもよかったじゃん!」

「は?何が??」





だって、雪弥の素直な気持ち、聞けなかったんだよ?
何が「よかった」のか、私には全然わからない。



桃華の思考回路を読むのは、まだまだ無理らしい。






「だって美咲、湖城くんに告白出来たんでしょ?それがどういう結果になろうとも、今までよりも、関係が大きく動いたっていうのは事実でしょ。」



ニコリと微笑む桃華に、私はうん…と俯向く。





「それにそーんなに湖城くんからの返事が気になるならさ、放課後聞けばいいんじゃん?」


「なっ…////べっ、別にそんなんじゃない、けど……」

「本当に?」



「………………き、聞けばいいんでしょ。聞けば。」



目をそらすと、桃華は「良くできました!」とばかりに微笑む。








やっぱり桃華には、かなわない。