扉を開けた瞬間に突き刺さる、みんなの視線。
……からのヒソヒソ話。
「…………。」
ええ、ええ、ええ、予想はしておりましたとも!
だって雪弥は【みんなの王子様】。
そんな彼の破局話なんて、そりゃあ噂のまわりがお速いことでしょうよ。
もしかしたら、私と雪弥が付き合ってるっていうあの噂の時よりも速いかも。
「はぁ……」
再びため息を吐くと後ろからみっさきー!!と抱きつかれる。
「っ、ぎゃああ!?」
「おっはよ〜☆…っふっ、ぎゃああって、女の子があげる悲鳴じゃないでしょ!!朝から面白すぎ!!」
「もっ、桃華ぁあ〜!!!////」
必死に笑いを堪える桃華に、私は真っ赤、なハズ。
いくら喧嘩っ早くても、私は一応女の子なんですよ、わかってます、桃華さん??
本日何回めか数えることすら出来なくなったため息が、私の口から勝手に溢れる。
「ため息吐くと幸せ逃げるよ〜?」って桃華の言葉も、シカト。
ふ、と隣を向くと、いつもはにこやかに挨拶をしてくれる雪弥が、こちらには見向きもしないでただひたすらに黙々と本を読んでいた。
う。き、気まずい………。
気まずい、けど!ここは勇気をもって!!!
「……雪弥も、おはよ。」



