年下君主




教室を覗くと、俺に気付いた柚子ちゃんが手を振って来てくれた。


可愛い……。


「下駄箱で待ってて良いのに〜」

「早く会いたいから来ちゃった。待ってらんねーの」

「あっ、ありがとう…」

「顔赤いけど」

「赤くない‼︎年上をからかうの禁止‼︎」


怒ってる姿すら好きなんだよな〜。


だから、俺は他の女の子じゃなくて、隣は柚子ちゃんが良い。


「あっ‼︎大和、ネックレス付けてくれてるんだね?」

「今日、クラスでも自慢しまくった」

「なんか恥ずかしいー‼︎みんな、なんて言ってた…?」

「彼女バカだな〜って言われた。否定しねーけど」

「そこ否定しなさいよ‼︎」


これからも、否定するつもりないんで。



下駄箱から外に出れば、ムワッと重たい蒸し暑さ。


もうすぐ夏休みか。


「柚子ちゃん。夏休みの予定は?」

「あたし?バイト詰めだよ〜」

「はぁ⁉︎嘘⁉︎」

「え、ほんとだよ」


デート三昧にしたかったのに………。


バイト詰めって何‼︎