年下君主




リュックから定期を出し改札を通ろうとすると、パシッと手を掴まれた。


「連絡先教えてよ。柚子ちゃん」

「なっ、なんであたしの名前…‼︎」

「好きな子の名前ぐらい知ってる。スマホ貸せ」

「は、はい…」


スマホを渡すと、強制的に連絡先交換。


新しく〝瀧原大和〟って名前が刻まれた。


「いつでも連絡寄越して良いから」

「うん…。 分かった…」

「…その顔まだ俺のこと疑ってんだろ」

「当たり前でしょ…。こんな急展開疑うよ」

「じゃあ、もっと急展開しちゃう?」


クイっと顎を細い指で上げられ、近付いた端整な顔。


数秒後には、唇に柔らかい感触…。


「Thank you for my sweet girl」


耳元で囁かれた溶けそうになるハスキーボイス。


甘い声が何度も心でリピート。



キ、キ、キ、キスされたぁ〜⁉︎


ファーストキス呆気なさ過ぎ‼︎



電車に揺られなが1人、唇を指でなぞる。


あの甘い囁きに惚れそうになっちゃった……。


瀧原大和って何者ですか…。